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2005.07.07

土曜の朝のMOTTAINAI

 「もったいない(MOTTAINAI)」という日本語に感銘を受けたケニア環境副大臣のワンガリ・マータイ氏が国連で環境保護の合言葉として紹介したことが話題になっているが、NHKにもおおいなるMOTTAINAIが存在する。
 そう、土曜の朝、8時台のNHK教育テレビの編成である。
 かつて、「セサミストリート」から「おかあさんといっしょ」という無敵のコンボを誇っていた子ども番組ファンにとっては黄金の時間帯である。
 「放映国の環境に合わせて作ったその国の言語での『セサミストリート』をオンエアしてほしい」という「セサミ」の制作会社の意向と、「アメリカのオリジナル版をオンエアしたい」というNHKの意向が合わなかったとかで、結局、NHKでの「セサミ」の放送は終了してしまった(現在、テレビ東京で日本版「セサミストリート」放映中)。
 ああ、MOTTAINAI。
 もう40年近くも昔、私がチビ助だった頃から放送していた番組である。当時は吹き替えなしでの放送だったので、番組の登場人物たちが何を話しているかわからないながらも、英語の数の数え方やアメリカには肌の色、目の色、髪の色の違う様々な人種の人々が生活していることを知った。
 セサミグッズの版権管理はNHKではないかもしれないが、たぶんテキストはNHK関連の出版社から発行されていたと思う。乳幼児の英語教育がより盛んになっている昨今、誠にMOTTAINAI話である。

 さて、かつて「セサミ」からバトンタッチされていた「おかあさんといっしょ」の時間帯。
 ココは今も変わらず「おかあさんといっしょ」が放送されているのだが、この4月から大きくリニューアルされた。
 新聞の番組欄にはこれまで通り「おかあさんといっしょ」と書いてあるので気づかない人もいるかもしれないが、実は「おかあさんといっしょ あそびだいすき」という全く別の番組に生まれ変わっているのだ。
 出演は前年度まで「おかあさんといっしょ」で体操のおにいさんを務めていた佐藤弘道と「デ・ポン!」のおねえさんだったきよこ(タリキヨコから改名)。
Amazon.co.jpへ 「なんだ、やっぱり『おかあさんといっしょ』じゃないか」と思った貴方、それは不正解。
 「おかあさんといっしょ あそびだいすき」は、“親子遊び”が延々と繰り広げられる番組なのである。
 アニメが入る以外は、ほぼ全編にわたって佐藤ときよこを中心に一般の親子数組が身体を使った遊びをしてみせるのみ。体操や手遊び歌に流れる歌は佐藤ときよこではない別の歌手が唄い(歌手は登場しない)、歌のおにいさん・おねえさんもスプーもじゃじゃまるもれっしーも出てこない。「あ・い・うー」も「デ・ポン!」も「ぱわわぷたいそう」もなし。
 幼い我が子と一緒に親子体操や親子遊びを楽しみたい人、あるいは親子遊びの指導をしている人にとっては、なかなか気の利いた構成なのかもしれないが、よその親子には何の興味も持てない私のような者にとっては憂鬱な時間でしかない。
 昨年度まで30分弱だった「おかあさんといっしょ」の放映時間が4月から25分に短縮されているため、以前より放送される歌の時間が減り、「しりとりドライブ」のような歌のおにいさん・おねえさんがホストを務めるコーナーもなくなってしまった。
 そこにきて、歌のおにいさん・おねえさん抜きの土曜版のスタートだ。「おかあさんといっしょ」の歌とおにいさん・おねえさんを愛する者にとっては、あんまりといえばあんまりな仕打ちである。
 
 無論、NHKは私のようなマニアに向けて「おかあさんといっしょ」を作っているわけではなかろう。だったら、本来の視聴者である乳幼児の立場にたってみたらどうだろう。
 おにいさん・おねえさんが自分と同じくらいの年頃のコドモと楽しそうに遊んでいる。よそのパパやママがコドモと一緒に体操している。…そんな映像を見たら、幼い子なら「自分もやってみたい」と思うのではなかろうか?
 「そうそう、そこが狙いなんです」とNHKは言うかもしれぬ。
 だが、考えてみてほしい。
 土曜の朝、8時半。土曜といえば休みの会社や学校が多い曜日である。平日の寝不足を解消すべく、ちょっと朝寝坊したい日ではないか。
 だが、乳幼児は曜日なんておかまいなしだ。土曜だろうが盆だろうが正月だろうが関係なし。朝になれば起きてきて、いきなりハイテンションである。
 寝ていたい親。遊びたい子。さあ、どうする?
 そう、そんな時こそテレビだ。眠たい親たちの頼もしい味方の登場だ。
 「テレビに子守をさせてはいけない」という育児関係の偉い先生方の意見はごもっともだが、育児は毎日。そして永遠。土曜の朝くらい「おかあさんといっしょ」に任せてしまってもいいじゃないの、ねえ。
 しかし、頼みの綱の「おかあさんといっしょ」からは、どこかの親子の楽しげな姿が流れてくる。親子体操は一人じゃできない。そうなったら、彼らは寝ている親を叩き起こすに違いない。ああ、もうちょっと寝かしといてやれよう。
 いや、なじみのおにいさん・おねえさんやスプーや「アイアイ」が出てこない番組なんて、そっぽを向いてしまっているコドモもいるかもしれない。MOTTAINAIなあ。

 「いい〜え、ウチの子は土曜版が大好きですの。あたくしも一緒に遊べてとっても楽しいですわホホホホ」という親御さんもいるかもしれない。
 じゃあ、これはどうだ。
 MCを務める佐藤ときよこの問題である。
 若いママさんから絶大なる支持を受けている佐藤は親子体操の指導者にピッタリだし、子どもに体操を教えるのは佐藤の本職のひとつ。「デ・ポン!」でコドモたちにおなじみのきよこも適任かもしれぬ。
 しかし、単調な動きの親子体操や、お手玉したり砂を掘ったりお尻を追っかけたりといった遊びの指導だったら、何もこの二人である必要はないのではないか。
 たとえば、おじいちゃん・おばあちゃんの年代のタレントを起用した方が、より番組に付加価値が加わると思う。
 高齢者と幼児のふれあい。昔の遊びの伝承。
 今の爺婆世代は元気だぞ。唄って踊れてコドモ相手のトークも達者な爺婆タレントなんて、幾らだって思いつくじゃないか。

 オリンピック経験選手たちに混じって彼らと遜色のないハツラツとした動きで「筋肉ミュージカル」で活躍している佐藤。鍛えられていることが一目でわかる引き締まったボディのきよこはダンサー出身だ。
 親子遊びも大切な仕事のひとつなのかもしれないが、彼らの弾けるような肉体や「おかあさんといっしょ」時代に見せていた軽妙なダンスや演技を封印してしまうのは、いかにもMOTTAINAI。

 もういいんじゃないか?
 いつまで、この平日「おかあさんといっしょ」、土曜「あそびだいすき」という構成を続けるつもりか知らないが、佐藤ときよこの親子体操番組のMCとしての資質は充分堪能した。
 さあ、この秋にはリニューアルしようじゃないか。
 「あそびだいすき」を佐藤ときよこのタレント性と優れた身体能力を生かす構成にするか、あるいは前年度までのように月〜土を「おかあさんといっしょ」に戻すか、どちらでもいい。
 親子体操や親子遊びへの取り組みを続けたいのなら、たとえば、「からだであそぼ」「ピタゴラスイッチ・ミニ」などが放送されている夕方の「あつまれ!わんパーク」の枠に移してもいいのではなかろうか。
 NHKよ、今こそMOTTAINAIの精神を思い出してほしい。【み】

2005 07 07 03:19 PM [幼児/こども番組, 佐藤弘道, きよこ/タリキヨコ, おかあさんといっしょ] | 固定リンク

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