現代民話考[8] ラジオ・テレビ局の笑いと怪談
松谷みよ子著/ちくま文庫
変わった本だ。ずっと民俗学の本だと思っていたが、いざ手にとって読んでみると学術的というにはあまりに緩すぎる。
「民話」という言葉から、都市伝説のようにある範囲の人々に共通して語られる物語を期待していた。しかしその中身は話者の個人的な思い出話の集大成。「キャンディーズの引退後『普通の○○に戻ります』という言い回しがはやった」とか、「紅白で司会者が都はるみの紹介の時『美空…』と言ってしまった」とか書かれてもねえ。読みながら最後の最後まで「現代民話の定義って何?」という疑問は解決しなかった。
また構成が非常にわかりづらい。
個々の民話には実際の話し手である「話者」と、話者から聞いた話を報告した「回答者」が記されている。またそのあとに「分布」として類似した話がまとめてある。
これらの用語が何の断りもなく使われており、用語の意味を推測し構成を理解するまでが一苦労だった。
これは全て第1巻から読んでいないせいなのか? 第1巻の最初には「現代民話」の定義や用語の解説がしてあって、それを読んでいれば違和感なく受け入れられたのか?
しかし収穫はあった。はっきりとは知らないが何となく聞いたことがある話というのがある(これこそ本当の現代民話だろうが)。そのおおもとの話が何編かこの本に収録されており、その何となく聞いたことがある話の正確なところを確認できた。「戦争中の野球中継でストライクを『ヨシ』、ボールを『ダメ』と言い換えたのはNHKの石井武士アナウンサーである」「ラジオ放送で風呂からかけつけたアナウンサーがマイクに向かって『裸で失礼します』と言ったのは昭和4〜5年頃、そのアナウンサーとはNHKの松田アナウンサーである」「打者が股間にデッドボールを受けた時、『女性にはわからない痛みでしょうねえ』と言った解説者は小西得郎である」。へえ〜。【吉】
1月 10, 2004 at 10:12 午後 今日の本 | Permalink
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