25年間の出来事を完全に記憶している女性
過去25年の人生の全ての出来事を記憶し「人間カレンダー」の異名をとる女性が研究者達を驚かせている。この女性は1980年以降の日付を指定すればたちどころにその日彼女が会った人物、その日彼女がしたこと、天気やその日の夕食のメニューまで答えることができる。研究者たちはこれまでこのような能力を持った者を知らなかったため、彼女の状態を表す「ハイパータイメジア(超記憶症(?))」という言葉を新たにつくり出した。
3/19、名前をAJとだけ明かされているこの40歳になるアメリカの女性は英国の「ザ・メイル・オン・サンデー」紙に対し「誰かが1981年の3月1日について尋ねたとするわね。ただ日付だけ言ってもらえれば、その日がそのままポンと頭に浮かぶのよ。」と語っている。「トリックはないし、前や後に数えていくこともしないの。まるで1981年3月1日のビデオをレコーダーに入れたみたいなものよ。あとはそのビデオを見ればいいの。」彼女がトリックなしに出来事を細部まで正確に思い出す能力はカリフォルニアの研究者達を驚かせている。
1980年から2003年までのイースターの日について尋ねれば、AJさんは完璧なリストをつくるばかりでなく、各年のイースターに彼女が何をしたかを書き出すことができる。彼女は日記をつけているので、研究者は彼女の記憶について確認することができる。1987年の10月3日について彼女はこう言う。「その日は土曜で、1日中アパートにいました。ひじを怪我したので三角巾をつけていたわ。」彼女はまた世界で起こった出来事について、小さな地震のあった日やテレビドラマ「ダラス」の最終話の放映日まで、その日付を即答することができる。
AJさんが最初に自分の能力に気づいたのは1978年、彼女が12歳の時だ。2000年になって彼女は頭の中で「上映される映画」がいやになり、これがなぜ起きるのかを探ることにした。彼女はカリフォルニアに住む記憶に関する専門家、ジェームズ・マクゴー博士にあてて自分の症状について手紙を書いた。「止めることもできず、コントロールもきかず、本当に疲れます」「私の頭の中で毎日全人生が繰り返され頭がおかしくなりそうです」
最初は疑っていたものの、今ではマクゴー博士は彼女のほぼ完璧な記憶力は彼女独自のものだと考えている。「彼女は何か思い出すときよくやるように宙を見つめたり額に手を当てたりはしません。まったくリラックスした状態で答えるのです。」 マクゴー博士の研究によれば、人間は感情的な出来事や衝撃的な出来事を体験した場合、ホルモンが分泌されるため鮮明に記憶に残るという。このため9/11のテロが起こったとき自分がどこにいたかを憶えているのだという。しかしAJさんの場合これは当てはまらない。
研究者たちはAJさんが、自閉症や多動性障害、統合失調症の場合に影響をうけるのと同じ脳の部分に障害があるものとみている。脳をスキャンすることで回答が得られると期待している。AJさんにとってはこの才能は天の恵みであるとともに忌むべきものでもある。「私は良いことも悪いことも忘れることができないので生きていくのが大変です。しかしその反面、自分の記憶に慰められているのも確かです。」と彼女は語っている。(NEWS.com.au)【吉】
3月 21, 2006 at 11:37 午後 今日のトピックス | Permalink
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