切り取られた指が生えてきた(動画あり)
オハイオ州でホビーショップを経営するLee Spievakさん(69)は、ある日模型飛行機のプロペラに指をつっこみ、右手の中指の先1cmほどを切り飛ばしてしまった。切り取られた指先はそのままどこかへいってしまい、Spievakさんは医者に指先は一生このままだと言い渡された。
しかし今Spievakさんの手を見てもそんなことは想像もできない。中指はそっくり、神経や皮膚や爪、指紋までもとにもどっているのだ。
移植ではない。彼の中指はまた生えてきたのだ。彼は「妖精の粉」を使ったという。再生医療の分野で働いているというSpievakさんの兄弟のアランさんが送ってきた粉だ。
10日間彼はその粉を少しずつ指にかけ続けた。「2度目の時には指は少し再生していました。毎日長くなっていくんです。最後には傷がふさがり、指ができあがっていたんです。」「傷がなくなるまで4週間ほどかかりました。」 今では感覚も完全に戻り、完璧に動かすこともできるという。
この「妖精の粉」はピッツバーグ大学で開発された。Stephen Badylak教授はこれを「細胞外基質」と呼んでいる。これは豚の膀胱の上皮から細胞をかきとり、残った組織を酸にひたし乾燥し、シート状や粉状にしたものだ。
この細胞外基質を傷に当てれば、細胞が傷跡をつくるのではなく再生を始めるのだという。この技術が完成すれば、切り取られた指ばかりでなく、ひどい火傷や傷んだ臓器も回復することができることになる。
この技術はブエノスアイレスで食道がんの女性に応用されようとしている。通常はがんの部分を切除し、短くなった食道と胃をつなぐ手術が行われる。しかし今回の手術では細胞外基質を食道を切除した部分に当て、失った食道を再生することが試みられる。
Badylak教授はいう。「10年以内には骨やその周囲の機能性組織を再生するための戦略が見えると思います。それは手や足の再生への大きな一歩になると考えます。」
この技術に興味を示したのが米軍だ。米軍はすでに負傷兵の指の再生を手がけようとしているという。(BBC NEWS)
元記事の動画にはだんだん治っていくSpievakさんの傷口の様子が。最初の方はちょっとエグイっす。【吉】