3年前発見され家族の元に帰った「ジャングル女」、再びジャングルへ逃亡
「19年前行方不明の少女、ジャングルで野生化していた」で紹介した、カンボジアで18年間ジャングルの中で育った「ジャングル女」が、社会復帰のさなかジャングルへ再び逃げ帰ってしまった。
Rochom P'ngiengさん(29)は1989年、8歳の時にジャングルへ入ったまま戻らず、2007年に発見され家族の元に戻された。しかし社会復帰の試みは失敗した。現地語のクメール語やプナン語を覚えることがなく、歩くより這うことを好み、服を着ることを拒み、何度か自分が育った森へ帰ろうとしたという。
父親で警察官のSal Louさんによれば、彼女はこのところ成果を見せ始めたものの、5月26日の夜、「服を脱ぎ捨て、家族に何も言わず家から逃げ出した」という。「その前日までは野菜の収穫なども手伝っていたのですが。娘はまたジャングルに帰ったのでしょう、まだ見つかりません。」とLouさんは言う。
「ジャングル少女」の奇跡的な発見と社会復帰の試みはカンボジア中の話題となり、猫背の外見と、獣のようなうなり声をあげることから「半獣少女」とも呼ばれていた。
LouさんはRochomさんの2度目の行方不明について、「森の精」の仕業と考えており、娘の行方を探すために占い師に協力を求めている。彼は金を貯め、占い師に与える牛1頭、豚1頭、鶏1羽と4壺の酒を用意しようといている。
Rochomさんは1989年、プノンペン北東650kmにあるラタナキリで姉と水牛を追いやっているうちに行方不明になった。そして2007年2月、裸で汚れ「猿のような姿で」ジャングルから現れ、農夫の弁当を盗んだところで捕まった。彼女が剣を持った裸の男といっしょにいるところを目撃したという地元民の報告もあり、彼らはこの男が森の精だとしている。
両親は彼女の腕にあった傷から娘と特定し、家族に迎えられた。8歳の少女がジャングルで生き残ることは不可能であり、Rochomさんに行われているのは事実上の監禁だとするNGO団体がDNAテストを求めたが、Louさんはこれを拒否してきた。
近隣の住民や地元の役所が捜索に協力しているが、ラタナキリのジャングルはカンボジアでも隔絶した、原生に近い森だ。
2004年には、1979年以来クメール・ルージュから逃亡した34人がジャングルから生還している。(Telegraph:Rochomさんの画像あり)【吉】