« クッションのスポンジを食べる女性 | トップページ | チン毛サンドは報復の味 »

2011年1月23日 (日)

赤ん坊の手をつかんで振り回す動画の背後にはロシアの健康増進運動家が

 「ベビー・ヨガ」と称して赤ん坊を振り回す動画が話題になっているが(動画はこちら:Smotri.com)、この運動の背後には、幼児や乳児に対し極端な水中トレーニングや極端なヨガ、体操を行う急進的な思想をもつ74歳のロシア人がいる。
 中東やロシアのメディアで「世界的に有名なグル」と呼ばれているイゴール・チャーコフスキー(Igor Charkovsky)は正式に医学を学んではいないが、彼のメソッドは子供を強くし、彼が言う「スーパー・ベビーズ」にすることができるとAOLニュースに対し語った。強く、恐れをしらない子供や成人になることができるというのだ。
 シベリア生まれのチャーコフスキーは、50歳になるロシアの5児の母親レナ・フォキナを指導している。彼女はネット上で批判に晒されている「ベビー・ヨガ」の動画で生後2週間の乳児を5分間にわたり捻ったり投げ上げたりしている。
 チャーコフスキーの訓練法は、50年以上前にソ連で始まった、アンダーグラウンドの急進的な健康増進運動から派生している。彼は水中出産を信じ、新生児に泳ぎを教えている。
 彼らの支持者はヨーロッパからアメリカ、オーストラリアにわたり、チャーコフスキーの訓練法は多くの病気の子供を治癒したとしている。一方医療関係者などチャーコフスキーを批判する者は、この訓練法は危険だとしている。
 「彼の成果は驚くべきものです。」とチャーコフスキーにモスクワで教えを受けた、水中助産術の先駆者であるカリフォルニアのSusanna Napieralaはいう。「彼から距離をおく人々がいることは事実です。しかし私は彼が手がけた赤ん坊がどうなったかをこの目で見ています。身体的に卓越した人間になるんです。小さな戦車のようですよ。」
 しかしチャーコフスキーは少なくともイスラエルの新聞上では強い批判の的である。チャーコフスキーは定期的に同国を訪れ、子供を相手に実践を行っている。同国の新聞「ハーレツ」では、泣く赤ん坊を氷水に沈めたり、子供を1日最高10時間水に浸けたり、乳児を宙に投げ上げたりする様子が詳しく報じられている。「ハーレツ」はまた彼が手がけた女児2人が死亡した件で、彼はシベリアで検察官の捜査の対象となっており、英国でも捜査の対象になっていると報じている。
 虐待の疑いがあるとしてYouTubeでは配信停止となったレナ・フォキナの動画は、当初つくりものだと考えられていたが、ウラル出身のフォキナは、育児ブログ"Dadwagon"によれば今週前半エジプトのダハブにおり、この動画は本物だと認めたという。
 フォキナはダハブで「先進的発達体操」や、彼女の言う「ベビー・ヨガ」の指導をしており、次のように主張した。「この運動について知れば知るほど、人々は落ち着き健康になっていきます。」 彼女は親が適切に行えばベビー・ヨガにより腕や脳が傷つくことはないと主張する。
 「ベビー・ヨガや水中トレーニングを徐々に行い、赤ん坊の言うことに耳を傾け赤ん坊を信じれば、全く安全なのです。」「親にとっても子にとっても大きな喜びの源なのです。」とチャーコフスキーはAOLニュースに対し語った。
 チャーコフスキーはこれまでフォキナの海中出産を4度手伝っていると語った。そしてその時の水温が7℃しかなかったことを誇らしげに付け加えた。また彼は成人になったフォキナの娘2人、タチアナとアレクサンドラを指導し、ロシアでスカイダイビングのチャンピオンになっていると語った。「これは大きな文化であり、孤立した狂気の行動ではありません。」とチャーコフスキーはいう。彼はこの数年黒海での海中出産のツアーを引率し、40年間で何千もの人に訓練を施したという。
 彼によればフォキナに対する批判は公平でなく、彼を狂人とか子供に対し冷酷な者のように書く前に、彼の訓練法についてもっと研究すべきだと語る。彼は特にアメリカ人の出産方法や育児方法に対し批判的である。「出産病棟で妊婦の腹を切り、新生児のへその緒を切って胎盤を売って大金を儲け、赤ん坊にワクチンを打ち、1日目から様々な化学物質を与え、赤ん坊を太らせる。不快で愚かなことです。」「こちらの方がより残酷に思えますが、アメリカの納税者から批判の声は上がっていますか?」と彼は語る。
 AOLニュースは火曜にインドにいるチャーコフスキーに、彼のアシスタントのLarisa Privalskaya(37)の通訳でインタビューをした。チャーコフスキーは、今週モスクワの女性がインド洋で海中出産するのを手伝ったという。「医学界が抱くもっとも大きな誤解は、赤ん坊は他の人間とは異なる種類のもので、他の人間のように扱うべきではないということです。」「医者は1日目から赤ん坊を固定し処方に従って投薬を行います。こうした赤ん坊には睡眠、食事、排泄の面で問題があります。」 これに対しチャーコフスキーが水中や乾燥した地上で訓練を行った赤ん坊は、決して病気にならず、より早く成長すると彼はいう。
 何年もアメリカに住んでいるロシア人のPrivalskayaは、チャーコフスキーが彼女の手当を始めた8歳の頃、自分は先天的な重い腎臓の感染症で何年も病院暮らしだったと語る。彼女の両親はチャーコフスキーと同じ「ヘルシー・ファミリー・クラブ」の会員だった。同会は80年代モスクワのグループで、栄養学と屋外での訓練―寒中水泳など―の効力を信じていた。
 彼女はクラブのメンバーが氷に斧で大きな穴をあけ、彼女や他の病気や健康な子供たちが凍るような水の中で泳いだことを覚えているという。彼女はその経験を「楽しく」「魅力的」だったと語り、冷水とチャーコフスキーのメソッドが彼女の腎臓の病気を治したと語る。「氷の下に潜り、また出てくるのです。」「気温はー15℃でした。激しい感覚でした。熱の波が体中をめぐり、タオルや衣服など不要なんです。」
 Napieralaは取材のため接触するまではタチアナの動画のことは知らなかったが、動画をみて始めはあっけにとられたことを認めた。「この件で否定的な結果がでたとは聞いていません。」「もう少し大きな子供たちがこういう訓練をし、オリンピック選手のようになったのは見ました。心配なのは、動画でこれを見た親が訓練なしでこれを試すことです。それは非常に危険だと思います。」と彼女は語った。(AOL News)
 誤解ないように、「ベビー・ヨガ」と呼ばれるもの全てがこのように過激な訓練法ではないことは付け加えておきます。【吉】

1月 23, 2011 at 03:46 午後 今日のトピックス |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 赤ん坊の手をつかんで振り回す動画の背後にはロシアの健康増進運動家が: