手術後イギリス式の発音でしゃべりだしたアメリカ人女性
カレン・バトラーさん(56)はオレゴン州生まれ。イギリス生まれではない。2009年彼女が歯のインプラント手術から目覚めると、少しトランシルバニア訛りのあるイギリス式のアクセントで話すようになっていた。
「手術を受けただけなので、最初は腫れのせいだと思っていました。」とバトラーさんはいう。「けれど1週間しないうちに腫れは治まったんですが、アクセントはそのままだったんです。」
バトラーさんは世界中で60件しか報告されていない「外国語様アクセント症候群」になったのだ。これはしばしば脳卒中に先立って現れ、母音を伸ばすという特徴は、言語を司る脳の部分の小さな傷によって引き起こされると考えられている。
「この発音やイントネーションをコントロールする箇所は脳の中の非常に小さな部分です。だからこそ症例があまりないのです。」とプロヴィデンス脳卒中センターの院長である神経学者、テッド・ローウェンコフ博士はいう。「この小さな部分に影響が出る確率は、脳卒中百万分の一より大きいくらいです。」
バトラーさんはこれまで脳卒中の検査を受けたことがないという。「アクセント以外はまったく正常なんです。」彼女はアクセントの変化以外は痛みや症状を感じていないという。「アクセントについても問題はありません。」
しかし家族からはからかいの的にはなった。彼女は"W"の発音が難しく"V"のように発音してしまうのだ。娘さんはある日彼女に"I vant to suck you blood(「お前の血を吸いたい」、WantをVantと訛らせた吸血鬼の定番のセリフ)"と言わせ携帯の着信音にしたという。バトラーさんは気にしていない。「ユーモアのセンスさえあれば、何にでも立ち向かえます。」と彼女はいう。
バトラーさんのアクセントは漠然とウエールズ語のように聞こえるが、実はこれは単なる偶然だ。「イギリス式のアクセントのように聞こえますが、言語の専門家が彼女の発音を聞けば、イギリスのアクセントではないというでしょう。」とローウェンコフ博士はいう。「これは外国語のように響く発音が混合したものなのです。ひとつの外国語の典型的な発音ではないのです。」
税金のコンサルタントをしているバトラーさんは、電話でクライアントに自分が本当のカレン・バトラーであることの説明を初めているという。(ABC News:動画はあるけど、訛ってるのかどうかよくわかんないや)【吉】