一晩寝たら15歳の少女に戻っていた32歳の女性
英国はマンチェスターでのこと。ナオミ・ジェイコブズさんは朝起きてもうすぐ始まる中学の卒業試験のことを考えていた。すると突然8歳くらいの知らない子供が部屋に入ってきて、彼女のことをこう呼んだ。「ママ」。彼女は叫び声をあげた。
彼女は今が1992年で、自分はまだ15歳だと思っていた。しかしその時は2008年であり、彼女は32歳になっていたのだ。彼女は記憶喪失で1992年以降にあったことを全て忘れてしまっていたのだ。
「私がベッドに入った時は奔放でわけ知り顔の15歳でした。起きたら公営住宅に住む32歳のシングルマザーだったんです。最後の記憶は2段ベッドの下で、同じクラスの男の子について思いをはせていたことです。」「息子のレオ(11)にママと呼ばれた時もだれだか分かりませんでした。自分とそう歳が違わないように思えたし、この子を産んだ記憶もありませんでしたから。」「わたしは思わず泣き出しちゃいました。控えめに言っても茫然自失でした。ただただママに会いたかったです。一晩寝たら21世紀だったということがどうしても理解できませんでした。」「私の頭の中では首相はまだメージャー首相(2代前の英国首相、1990年〜1997年在任)でしたし、ブッシュという名前で知っているのはお父さんの方だけだったんです。」「フェイスブックとか、グーグルとか、ユーチューブはまったくの架空の話にしか思えませんでした。」「息子のレオがXboxでテレビを自在に操っているのを見て、お茶を噴き出してしまいました。」
ジェイコブズさんは「一過性全健忘」と診断された。記憶を無くした時、彼女はレオ君を育てながら心理学の学士号のために勉強をしており、またホメオパシーのビジネスを始めていた。彼女の出来事に関する記憶は全て無くなっていたが、車の運転のような知識は残っていた。以来3年間、彼女は友人や親族の助けを得て、手元にあった雑誌や日記を使って失った過去をつなぎ合わせてきた。
「15歳の頃、32歳になる頃には地球の半分くらいは征服しているくらいの気持ちでした。32歳の自分がただのシングルマザーで、ボロボロのフィアットを乗り回していることを知ってショックを受けました。」「親友や姉は、コミュニケーションについて私の面倒を見なければなりませんでした。携帯の使い方も知りませんでしたし、電子メールという概念すら忘れていましたから。」「最初の2、3か月、自分が誰なのか理解しようと一生懸命でした。ベッドの中で眠れず、学校に戻りたくて泣いた日もありました。その時一番心配だったのが公園で飲酒をしていて捕まった、好きだった男の子のことでした。」「けれど段々世の中に慣れてきました。」
ナオミさんは今では記憶を全て取り戻している。「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスが経験したみたいな面白い体験ではありませんでした。限りない可能性を持ったまま眠りについて、起きたら悪夢が待っていたというわけです。」(The Sun)
Xboxのくだりはどうだろう? 1990年にはすでにスーファミが発売されているのだが…。また一過性全健忘は通常1日くらいで治り、発症中の記憶は形成されないというので、少し違う気もする。【吉】