2か月間眠り続ける少女:クライン・レビン症候群
英国シュロップシャー州テルフォードのステーシー・カマフォードさん(15)は一度寝ると何か月か眠り続けるという珍しい睡眠障害にかかっている。2か月間眠り続けた彼女は、オールAが確実視されていた試験を9回受けることができなかった。
彼女の症状は世界に1,000例しかない、「眠れる森の美女症候群」とも呼ばれるクライン・レビン症候群だ。彼女は不定期にでも学校に通いたいと考えているが、学校では症状のことをからかわれるという。「11月には試験を9回受けられず、自分の誕生日にも眠っていました」「誰も私を信じてくれないので、説明することもどんな症状なのか知ってもらうことも難しいんです。それが一番つらいんです。」「学校で私が疲れたので家に帰りたいというと皆嫌な顔をします。」と彼女は言う。
この症状がでた時は、彼女は20時間あまりも眠り続け、意識がもうろうとしたまま水を飲み、トイレにいく。母親のバーニーさん(53)は彼女がベッドに戻る前に食べ物を口の中にいれてやるという。カマフォードさんはこの症状が出てから13kgも体重が減った。
バーニーさんはいう。「予兆のようなものは何もないんです。娘がキッチンの床で寝ているのを見つけたこともあります。」「この症状がでたときもトイレに行ったり水を飲んだりしますが、すっかり目が覚めているわけではないんです。私は『睡眠モード』と呼んでいます。」
バーニーさんは自分の娘をジキルとハイドに例える。「家の中に2人の別の娘がいるみたいです。」「睡眠モードの時は娘は気難しくなります。娘にもどうしようもないんです。自分のやりたいようにしたがる小さな子供のように、自分の思い通りにならないと足を踏み鳴らすんです。」
カマフォードさんにこの症状がでたのは約1年前だが、クライン・レビン症候群と診断されたのはこの3月だ。最初の頃医者は単に因鬱な少女だと考えていたらしい。「娘が欲することはただ眠ることだけです。」「医者には『ひどい言い方だと思われるかもしれませんが、娘さんは陰鬱で元気がないだけだと思いますよ』と言われました。」とバーニーさんはいう。 脳腫瘍があるのではと心配したこともあったが、検査の結果は陰性だった。
診断が下されたのはバーミンガム児童病院で神経科医の診察を受けた時だった。しかし彼女はまだ症状のことでからかわれるという。「皆理解してくれないので、娘も人を避けています。」「意図的に娘を学校に行かせないのだと思われて地元の教育委員会から調査を受けたこともあります。診断をうけてからは調査はなくなりましたが。」「何かが間違っています。私は娘のことはわかっています。」「娘は元気いっぱいの明るい状態からいつでも眠っているようになってしまいました。」「今夜寝たら、起きるのは来週になるでしょう。」
クライン・レビン症候群の治療法は知られていない。この症状がもとで病気にかかる場合もあるという。(The Sun)【吉】