4原色の視覚をもつ女性見つかる
通常の人間より9千9百万色も多い色が見える女性が発見された。彼女は研究者が20年にわたって探していた、幅広い種類の色相を識別できる、英国で最初の四色型色覚の持ち主だ。
ニューカッスル大学の神経科学者、ガブリエル・ジョーダンさんによれば、この状態は女性のみに起きるといい、自分で気づかずにいる他の四色型色覚の持ち主もいるかもしれないという。「不幸なことに、彼女が自分の色覚を我々のそれと比較して描写することができません。我々が赤緑色弱の人に自分の感覚を説明できないのと同じことです。」とジョーダンさんはいう。
我々の視覚は錐体という視細胞によって知覚される。通常は3種類の錐体で(3原色にもとづく視覚を)知覚するが、彼女の場合は錐体が4種類あ(り、4原色の世界を見てい)る。「四色型色覚の持ち主は能力をフルに使う必要はないでしょう。より能力の低い(3原色の)人々向けにつくられた世界に閉じ込められているのでしょうから。」とジョーダンさんは語った。(Metro.co.uk)
色の3原色というが、これはたまたま人間の錐体が赤、青、緑を感じるようにできているからにすぎず、可視光線が本質的に3色の光線から構成されているのではないらしいぞ(原色 Wikipedia)。【吉】
<6/24追記:より詳しい記事>
スーザン・ホーガンさんは、あなたは四原色でものを見ているんですよと言われても驚かないだろう。
四原色型色覚者は、我々のほとんどのように三原色でものをみるのではなく、四つの原色でものを見る。これは女性にのみ現れる能力だ。ホーガンさんが本当に四色型色覚者かどうかは遺伝子の検査をしてみないとわからないが、インテリアデザイナーである彼女がベージュ色の壁のサンプルを顧客に示した時、「私には金色がかったベージュと灰色っぽいベージュ、緑っぽいベージュに見えるのに、お客様には区別がつかない」ということも彼女が四原色型色覚者だとすれば説明できる。
我々三原色型色覚者には四原色型色覚者にどうみえるのかを想像することはできない。ウィスコンシン医学大学の色覚の研究者ジェイ・ネイツ博士は数学を使えば視覚におどろくべき違いがあるだろうことがわかるという。網膜にある3つの原色—青、緑、赤—を感じる錐体細胞はそれぞれおよそ100段階のグラデーションを認識できるとネイツ教授は推測している。脳がそれぞれの原色のグラデーションを重ね合わせて、平均的な人減はおよそ100万種類の色相を区別できるという。四原色型色覚者は赤と緑の間、オレンジのあたりにもう一つの錐体細胞をもつ。そして理論上はこの錐体の100段階のグラデーションによって1億色の違う色が見えることになる。
これによって、ホーガンさんがマウント・ワシントンの自宅の窓から外を見て、3つの川のわずかな色の違いから川の深さを区別できるのだ。「非常にたくさんの色が見えるので、色に名前をつけるのが大変でした。」と彼女はいう。
夫人のモーリーンさんと共同で研究を行っているネイツ博士は、この力は女性だけがもつことができるという。緑錐体と赤錐体の遺伝子はX染色体にあるが、女性はX染色体が2つあるため、1つのX染色体で赤錐体が形成されもう1つのX染色体で違うタイプの赤錐体が形成される可能性があるという。まれに2つのX染色体で違う緑錐体が形成されることもあるという。しかしネイツ博士は4種の錐体をもつ女性がすべてスーパーカラーの視覚をもっているとは考えにくいという。多くの場合2種類の赤錐体が感じる色が感知できるほど波長が違わないので、三原色型色覚者とそう違わない世界を見ているのではないかという。博士の推定では緑錐体と赤錐体のちょうど間に4種類目の錐体があり膨大な色彩が見られるのは全女性の2〜3%だろうという。
ニューカッスル大学のガブリエル・ジョーダン博士は真性の四原色型色覚者を発見したという。彼は研究を、まず色弱の男子の母親に遡ることから始めた。男性の約8%が色弱だという。色弱者の多くは青錐体をもつかわりに2種類の赤錐体または2種類の緑錐体をもっており、赤いトウガラシと緑のトウガラシの区別がつかなかったり、ステーキの焼き加減を見てわからなかったり、服をあわせることができずにいる。ジョーダン博士はニューカッスル地区の100人以上の男子生徒に視覚検査を行い、赤緑色弱の男子を探した。彼らの母親は2種類の赤錐体または2種類の緑錐体を持つと思われるので、次に母親に対し「強い四原色型色覚」を持つ女性を探す検査を行った。この検査にあたっては女性に対し速い速度で3枚の小さな円盤を連続して見せる機器を用いた。3枚のうち2枚は純粋なオレンジ色をしており、1枚は赤と緑を混合して近い色にしたものだ。どの円盤がどれかは被験者には教えていない。ジョーダン博士によれば2種類の赤錐体をもつ女性はオレンジ色の円盤と赤と緑を混合した色の円盤を見分けることができるというのだ。これまで実験を行った20人の女性のうち1人だけが毎回素早くかつ正確に混合色の円盤を見分けられたという。博士は今この女性が2種類の赤錐体の遺伝子を持っているかどうか、唾液を使って遺伝子検査を行っているという。この女性の名前は明かされていないが、ニューカッスルに住む医師だという。博士は、医師にスーパーカラーの視覚があれば、患者が病気か否か普通の医者にはわからない皮膚の色のわずかな違いで判断することができるかもしれないと推測している。
ネイツ博士は、世界の女性のうちおよそ9千9百万人が真性の四原色型色覚者だと推測している。しかし優れた進化だと喜ぶ前に、この10億年間鳥や両生類や爬虫類がそうだった状態に逆戻りしているのだということを知っておくべきだという。これらの生物は長い期間四原色型色覚を持ってきた。決定的な違いはこれらの生物の4つめの錐体は人間が知覚できない高周波の紫外線の範囲にあることだ。この発見で、なぜある種の鳥のオスがメスより明るい色の羽を持たないかが理解できるようになった、とネイツ博士はいう。これらの鳥を紫外線検知器を通して見ると、オスとメスの羽の色は全く違う色なのだという。同様に、我々には四原色型色覚者の見る世界を見ることができないため、四色型色覚にはどんなメリットがあるか知る術がないという。「世の中には(三原色型色覚では)区別できないが物理的に異なるものが多くあります。」しかし四原色型の女性にはその違いがわかるのだろう。
しかしその違いは審美的なものなのかもしれない。ホーガンさんは笑いながら、彼女の夫が皿にフルーツを並べた時、「色が調和するように並べ替えるんです。」と語った。(Pittsburgh Post-Gazette)
オレンジを第四の原色として感じるということは、つまり赤から紫、青、緑の間は普通の人間と同じように見えるが、赤から黄、緑の間はもの凄く細かい差まで識別できるということなんだろうな。【吉】