持ち帰ると不幸になる不思議な木の化石
アリゾナ州ペトリファイドフォレスト国立公園は、「化石化した森」という意味のその名のとおり2億年前の森が化石化した石が砂漠にごろごろと転がっている公園だ。
物珍しさから採取が禁じられているこの石を拾って持ち去る者も多いが、一方石が不幸を呼んだとして返してくる者も多い。公園の一角にはそうして返されてきた「良心の石」を積んである場所がある。コイン大のものから、ブリーフケース大のものまで、その量は数トンに及ぶ。
この面積約90,000haの公園には年間約60万人の観光客が訪れるが、国立公園局は毎月1tの化石が盗まれていると考えている。この量は郵送で返されてくる石の量から推測したものだ。公園にあるレインボーフォレスト博物館には毎月3通から6通の、手紙を添えた石が送り返されてくる。1930年以来送られてきた手紙は1,200枚にも及ぶ。典型的な文面は「小さな石だったので大丈夫だと思った」というものだ。そして手紙の多くが身に起きた不幸について触れている。この手紙はファイルされて博物館に展示してある。
1986年3月の手紙にはこうある。「…信じてください。もしこの石に呪いがかかっていると知っていたら、盗みませんでした。休暇から帰った時から私の人生はひどい毎日でした。普通の生活に戻りたいのでこの石はお返しします。もう一度やり直させてください。化石を盗ってしまったことを許してください。」 また日付のない手紙にはこうある。「…公園に行った時、離婚やほかの不幸な目にあって石を返した多くの人の手紙を読みました。はじめは迷信深い奴らのたわごとだと思って信じませんでした。しかし人生を振り返るとこの30年間家族には全く幸せが訪れず、石の伝説は本当かもと思うようになりました。」 中には「去年の夏外出した時、いつの間にかこの石が車の中にありました。もとの場所に帰りたがっているんだと思います。」というホラーめいた手紙もある。
博物館の学芸員、マシュー・スミスさんによれば呪いの石の噂が始まったのは1930年頃。今ではこの国立公園の歴史の一部となっている。パークレンジャーのキップ・ウールフォードさんはいう。「一旦もとあった場所から移動されると、それだけで被害になるんです。」「石がもとあった場所に戻す術はありません。」 彼は石を移動してしまうと「場所の文脈から切り離されてしまい」、科学的な価値がなくなると嘆いた。(Arizona Daily Sun:画像あり)【吉】