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2001年3月

2001.03.26

盛り塩

 料理屋の前で焼き鳥を売っている店がある。人なつこい親父が一人で焼く小さな店だ。

 先日、この店に焼き鳥を買いにいき、焼き上がるのを待っていたところ、自転車に乗った常連風の若者がやってきた。
 「おじさん、焼き鳥3本ね」
 「おう、ちょっと待っててな」
 「うん」
 親父が自分の焼き鳥を焼いてくれるのを待つ若者は、料理屋の玄関に盛られた塩を見つけ、親父に声をかけた。
 「おじさん、なんで塩なんか置いてあんの? まくの?」
 「これはな、縁起がいいんだよ。塩は清めるって言ってな」
 「へーえ…」
 親父の説明を聞いても若者はなんとなく腑に落ちない顔であった。

 若者よ、これは「盛り塩」という昔からの日本の風習だ。
 君が食べる焼き鳥の味つけに使うものではないから安心してくれ。【み】

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