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2002.10.08

松浦亜弥に似ていたか

 平日の夕方、家へ向かう東西線の車内でのこと。
 その3人は最初から少し目立っていた。私立中学の制服を着た女子3人である。目立っていたのは結構混んだ車内で立ちながら菓子を食っていたからだ。車内にはその3人に対する反発の素地があらかじめできあがっていたと考えてもらいたい。

 語り役が1人、聞き役が2人という形で会話が進んでいた。聞くとはなしに聞いていると、語り役は芸能界指向があるらしく、オーディションの話をしている。深田恭子の子供時代の役のオーディションを受けた、落ちたのは面接で髪を切れないと答えたからだ、と婉曲に容貌を自慢している。車内に響くような大きな声で。聞き役の2人は、相づちを打ったりお追従を口にしたりしている。心底語り役に好意を持っているのかもしれないが、同じ方向に帰る友人なので冷淡にもできず相手をしているというようにも見える。そうだとしたら2人には同情を禁じ得ない。

 会話が進む中、語り役が突拍子もない言葉を口にした。

 「私って、松浦亜弥に似てないよね?」

 私は見た。車内の若い男性のこめかみにことごとく青筋が浮かぶのを。頭の上にことごとく丸い吹き出しが現れ、「似てねえよ」の5文字がうかぶのを。
 彼女の話はこうだった。先日歩いていると、若い男が松浦亜弥に似ていると言って寄ってきたので気持ち悪かった、というのだ。

 仮に似ていたとしても「似てないよね?」の一言に相手はどう反応すればよいのか。「うん、似てないよ」と答えて逆に気分を害されたら面倒だ。「似てるよ」と言って本当に相手が松浦嫌いだったらこれも気分を害するだろう。実際その時聞き役の二人は1.5秒ほど返事に窮してしまったではないか。結局口数の多い語り役が二人の返事を待たずに喋り始め、聞き役の二人は途中で降りていき事なきを得たのだった。

 後日連れ合いにこの話をしたところ、機知に富んだ助言を得たのでここに書き記しておこう。こういう場合、「松浦亜弥よりずっとかわいいよ」と答えればよいのだそうだ。納得。【吉】

10月 8, 2002 at 06:39 午後 ○その他 |

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