なくなる本郷4丁目の桜並木
先日本郷を歩いていた時のこと。この界隈は街並みが古いため、妙に低い地下道とか、驚くほど高い擁壁とか、驚くほど細長い石段などがあったりする。今の設計基準から外れるような構造物がここそこにあって面白い。今ではバリアフリーという考え方があるため石段の街路なんて造ろうと思っても無理だろう。
面白い一角を見つけた。住所で言えば本郷4丁目19だ。自動車の走る道路から石段のある細道が派生し、若干の高低差で並行してのびている。2つの道の間には桜の木が何本か。細道の先には急で長い石段。その急な石段を登ると、細道より高い位置に空地が広がっている。地形の微妙な高低差が感じられて面白い空間になっている。
ところがこのあたり一面に貼り紙や横断幕が貼ってある。読んでみると、空地にマンションが建設され、それに伴って4本の桜が切られてしまうらしい。
どうやら桜が生えている場所と細道は、空地と一体で元区の所有地を払い下げた私有地らしいのだ。貼り紙や横断幕は桜の木の保存を訴えるものだった。
また本来私が訪れる2日前に桜の伐採が計画されていたが、電線等が邪魔になったため延期となったらしい。
私有地である以上、所有者が土地をどう使おうが法律に触れない限り抗議する由縁はないと思っているので保存運動に参加するつもりはないが、桜同様この魅力的な空間がなくなってしまうことを嘆こう。【吉】
<追記>
2004.4.11、TBSの「噂の東京マガジン」でこの件が放送された。既に真ん中の2本の桜は切られてしまったが、住民は署名を知事に提出する意向のようだ。行政を一方的に悪者に仕立て上げるこの番組の姿勢は変わっていないが。
<追記2019.5.4>
その後2005年9月、この場所には10階建のマンション、アーバンビュー本郷が建築された。