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2009年12月

2009.12.31

高輪の細長い階段

 高輪はその裏側に数々の魅力を隠し持っているが、この階段はその最高峰と言えるだろう。
 その階段へ続く道は二本榎通りから派生しているが、入り口が1mほどしかない。現在片側に建物がないため道があることが明瞭にわかるが、両側に建物があった頃には、この先に約100mにわたる一本道が続き、スペクタクルに満ちた空間が広がっていようとは誰も思わないだろう。

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 入り口から続く道は幅1mほど。現在片側の家はセットバックしているが、かつての狭さはいかばかりだったろうか。

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 やがて舗装は石張りになる。前方で道が途切れ、この先に坂があることを暗示する。


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 階段の上から覗き込むと長々と続く石段。

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 途中にいくつか踊り場があり、そこから道が派生している。背丈より高い擁壁に囲まれた空間は非常に気持ちいい。一本道なのだが立体的な迷路に迷い込んだような感覚だ。

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 派生してアパート入り口に至る階段も、手すりがなくてとってもスペクタクル。

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 足元を見ると階段の微妙な段差や石段に生えた苔、花崗岩の水準点などもあり趣を添えている。

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上方を振り返ると、石積、ブロック、コンクリートが織りなす表情が美しい。

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 最下段から。「都市徘徊blog」によればかつては階段下にも木造家屋が集まっていたらしいが現在は墓園になって開けてしまっている。

 全46段のスペクタクル。東京で一番面白い場所は青山でも新宿でもなくここだ。沿道の人がそこそこ利用しているため、開発によって道が失われるということはそうそうないだろうが、雰囲気が変わる前にぜひ行ってみることをお勧めする。【吉】

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高輪の細い階段の位置(国土地理院「地理院地図」 標準地図と陰影起伏図・色別標高図を加工)

Narrow Staiway in Takanawa, Tokyo.
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Takanawa, Tokyo is a city of hills.This stairway is at the west side of the hill, slightly hidden from ridge road, Nihon’enoki St. 
Surrounded by tall walls, you will feel the space very comfortable. It gives the impression of being lost in a 3D labyrinth.
Stone wall, block, and concrete create a beautiful look. Moss growing underfoot add touch of charm.
Spectacle of 46 steps. I recommend you to visit before the atmosphere changes.

 

元麻布無名坂

 元麻布の一角に味わい深い坂がある。
 南アフリカ共和国大使公邸の横の曲がり角から分岐する小さな坂だ。曲がり角にある下り坂であることからあまり人目にもつかず、下り側からみるとカッコイイ部分は曲がり角の奥で見えず何の変哲もない道に見える。
 しかしこの隠された階段状の坂、踏面こそコンクリート製だが蹴上の部分は石で処理しており、工事をした者のこだわりを感じる。また下の方の段はなぜか道に対して斜めになっている。普通に舗装された道に隠れた、愛すべき小さな坂だ。(2009.12.31)【吉】
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■上から

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■下から

 (2019.5.4追記)2017年11月再訪してみるとこの階段の形状ががらりと変わっていた。もともと私道だったのだろう、隣接する住宅の建て替えに伴い階段も普通の形に改築されたようだ。ただ階段への入り口部には庭園のようなしつらえがしてあり、改築した方の良心が感じられる。【吉】

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■改造後 上から

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■改造後 下から

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■入口部

高輪台秘密の抜け道

 「高輪台の半行き止まり坂」のほど近くにこの抜け道はある。この一帯は規格外の私道が多く楽しい場所だ。
 抜け道の入り口は一見すると私邸への入り口のように見える。奥が見通せない階段で、入っていくのに結構勇気が必要だ。もし上った先が人の家だったらどうするのか。引き返す途中で帰ってきた家の人に見とがめられたらどうするのか。そんなことを心配していたら街歩きはできないので意を決して奥へと進む。
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 ただでさえ幅が1mくらいと狭い階段なのに、隣家の擁壁が少し階段側へ孕んできて道をなお狭くしている。ステキ。

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 階段を上っていくと道側に繁茂した草が覆いかぶさったりしている。ほとんどこの道を使っている人はいないのではないか。この道を知っているのは俺くらいに違いないと歪んだ優越感にひたりつつ先へ。まあもちろんここの所有者は知っているだろうけどね。

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 そして道を抜けるあたりになるときちんと舗石が埋め込まれた道になる。抜けた場所には「此の奥 ◯◯、◯◯、…」と奥のお宅の名前を書いた札が出してある。

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場所はここ。【吉】

2009.12.30

高輪1丁目細街路

 泉岳寺の門を入ると右手に高輪学園の正門があるが、高輪学園と泉岳寺の間に細い1本の道がはしっている。左手を泉岳寺の大谷石の塀、右手を高輪学園のフェンスに囲まれ、路面は敷石が敷いてあるこの道は山の手の寺町らしい風情を醸している。
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 この道の突き当たりを曲がると空間は劇的に変化する。高輪学園の校舎と運動場の間を進むことになるのだが、高輪学園の校舎側が高くなっているため擁壁が高くそびえ、右側は運動場の目隠しがあり、細い溝の中を進むような感覚だ。

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 さらにつきあたりを曲がり寺や木造の小さな民家の間を縫うように進む。私道であるのか路面は石張り、高輪の表通りとは違った路地裏の感覚が味わえる。やがて道は二本榎通りに出るが、空間の変化のほか民家の井戸など、見るべきものの多い道だ。【吉】

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