赤城下町・矢来町:地形が隔てた背中合わせの町
【2つの町を隔てる段差】
早稲田通りを進み神楽坂を上る。上りきった北側に赤城神社がある。北側に1本道を入ったあたりまでが矢来町、そこからさらに1本道を入ると赤城下町で、2つの町はこの2本の道の中間で接している。
付近の地形をみると、2つの町が接する線ですっぱりと6mほどの段差がある。そのため矢来町の道と赤城下町の道を繋ぐ道はなく、矢来町側から入った道は途切れ、赤城下町側から入った道は擁壁につきあたり、この2つの道は繋がることなく平行に300mほど伸びている。
■赤城下町と矢来町の位置関係、地形、道路網(「東京地形図 on the Google Earth」gridscapes.netをもとに作成)
■擁壁につきあたる赤城下町側から入った道
【2つの抜け道① 区立あかぎ児童遊園】
2つの道は繋がっていないというのは公道の話で、実は2か所抜け道がある。その一つが区立あかぎ児童遊園だ。
あかぎ児童遊園は南北に延び、矢来町の道、赤城下町の道それぞれから延びてきた道を園内にある階段でつないでいる。また園内の南北の段差を利用して象の形のすべり台が設置されている。この造形がなかなか趣深い。
■園内の階段
■象のすべり台
【2つの抜け道② サクラハウス横】
矢来町の道沿いにかつて見晴湯という銭湯があった。現在ではサクラハウスという外国人向けシェアハウスになっているが、この駐車場を奥に進むと下におりる階段がある。階段横の壁面には消えかかった「パーマ ■美の店 ここおりる」というペンキの文字が。矢印にしたがって階段を下りると鉄扉を通り抜け赤城下町側から延びてきた道に出ることができる。出たあたりに空地があり、ここが以前パーマ屋だったのだろう。
■見晴湯の煙突(2012年当時)。現存しない。
■サクラハウス横の駐車場。この奥に…
■下に下りる階段。壁に何か書いてある。
■「パーマ ■美の店 ここおりる」と判読できる
■階段を下りると鉄扉が
■鉄扉を出たあたりの空地から出てきたあたりを見る。この空地がおそらくパーマ屋。
■赤城下町側から延びてきた道に出る
■赤城下町の道から振り返る。見晴湯の煙突。
400年前わずかな地形の段差が背中合わせの町をつくりだし、その構造が現在に至るまで引き継がれている。現在では家並みに埋もれている微地形だが、それは確実に道筋や町割に反映されているのだ。【吉】