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2022.08.08

渋谷定点観測02-22 その1 文化村通り

「渋谷定点観測02-22」について
渋谷の街は渋谷駅開業以降、関東大震災に伴う人口の移動、戦災復興、高度成長期、バブル期と変化を遂げてきましたが、2010年代以降の大規模な開発により過去にも増して大幅な変化が起きています。

こうした開発による街並みの変化は、最終的には地図上に記録されることになりますが、それはあくまでマクロな都市構造の変化の記録にしか過ぎません。ミクロな、我々が路上で目にしている風景、すなわち建物の意匠や路上の事物、看板、壁面の落書きなど人々の行動の痕跡、そうしたものは公の記録として残されることはなく、それぞれの時代を生きた人々の記憶の中で時間とともに薄れていくしかありません。
今後も変化し続ける渋谷の風景が忘れられることにせめてもの抵抗をするとすれば、それは定点観測的に風景を画像として切り取り保存することでしょう。

2002年の7月、渋谷のここまでの変化を予測していなかった頃、渋谷の風景を記録するため各所で写真を撮影していました。ちょうど20年を経た2022年7月、再度同じ場所から写真を撮影し、現在の風景を保存するとともに、過去20年の街並みの変化を振り返ろうと思います。

 

001 渋谷109

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この地点からの風景はほとんど変わっていない。あえて言えば、「渋谷109」のロゴ(2019変更)と109の左側からのぞいている「ザ・プライム」の看板の色が変わった程度だろうか。

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002 文化村通り 玉久ビル

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「渋谷109」に向かって右側のこのビルは一見わかりづらいが109とは別のビルである。109完成当時はここに木造平屋の飲み屋「玉久」があった(東京些末観光「渋谷109下『玉久』」)。大きな変化はないが屋上のルーバーが外され、「H&M」の看板が設置された。その背後の「極生」の看板も「長谷川スカイラインビル」の建て替えに伴い消えた。

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003 文化村通り 恋文横丁周辺

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2002年、手前に「くじら屋」「レストラン・レンカ」「美美薬局」が、美美薬局の壁面には恋文横丁の由来と、足元には「恋文横丁 此処にありき」の標がみえる。
2022年、くじら屋は移転し「オークリー」が入居(2019)。壁面の黒いポスターはくじら屋移転のお知らせ。レストラン・レンカ、美美薬局は、隣接していた「長谷川スカイラインビル」とともに建て替わり「ヤマダデンキLABI渋谷店」になった(2008)。「恋文横丁 此処にありき」の標は金属製になり少し敷地内に入ったところに残されている。道路の舗装は基本的に変わっていない。

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004 文化村通り 恋文横丁

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2002年:「美美薬局」と「長谷川スカイラインビル」の間を入って「レストラン・レンカ」に至る路地。恋文横丁の看板に「新玉川線近道」との表示があるがどれほどの人が気づいていただろうか。なお新玉川線はこの2年前に田園都市線に統合されている。
2022年:現在は「ヤマダデンキLABI渋谷店」(2008) の入口になっている。周囲は一変しているが、手前のマンホールから撮影位置を特定した。恋文横丁はこの位置から路地を入った奥にあった。詳しい位置等についてはこちらを参照(東京些末情報「映画『恋文』」)。

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005文化村通り 東急本店付近

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カラオケ館、東急本店は変わっていないが、右手のブック・ファーストのビルは建て替わりH&M(2009開業)になった。
なお東急本店とBunkamuraは2023年解体され、2027年には住居・ホテル・店舗を含んだ地上36階の施設に建て替わる予定だ(Shibuya Upper West Project)。この風景もがらりと変わる。

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006 文化村通り 東急本店から

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通りの左側、「パチンコマルハンタワー」(2016閉店)ビルには「MEGAドンキ」が開店。「カラオケ館」の背後に見える落下防止パネルは2023年開業予定の「渋谷区道玄坂二丁目開発計画」の工事現場。ドンキホーテホールディングスが地上28階建の店舗・事務所・ホテルを建設中だ(2023開業予定)。同プロジェクトの計画地内には以前「聚楽」という旅館があったが廃業後長らく駐車場であった。
つきあたりの「渋谷駅前ビル」の屋上の看板は「SAMSUNG」から「お茶漬け海苔」に。
そして何より背後にそびえる「渋谷スクランブルスクエア」(2019開業)。スケールがSF的としか言いようがない。左側の背後には「渋谷ヒカリエ」(2012開業)も見える。

8月 8, 2022 at 12:00 午前 ■渋谷区渋谷定点観測02-22 |