◇千葉県浦安市

2005.09.18

樹木に蝕まれてゆくオート三輪

 浦安市当代島の一画にそれはある。この一帯はかつて一面の田であったが、今はほぼ住宅地になっている。その一画に埋め残された土地なのだろう、沼地のようになった場所があり、時折ソファーやバイクが捨てられていたりとかなり乱暴な扱いを受けている。
 そこに少なくとも1995年以前から1台のオート三輪が棄ててある。90年代にオート三輪というだけでもかなり珍しく目を引いたのだが、さらにその荷台には1本の樹が育っていたのだ。かつてはオート三輪ももう少し原型をとどめており、樹も小さかったのだが、もはや樹は2mを超え錆びて朽ちていくばかりの車体を呑み込まんばかりである。その役割を終えたオート三輪が次第に樹木に変貌していくようにも、寄生した樹木がオート三輪を蝕んでいくようにも、植物と機械の融合体のようにも見える。

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■2004.4.22撮影

 やはり人目を引くようで、ほかにも何件かこれを報告しているサイトを見つけた。なお樹は葉の形や光沢などからクスノキだと思っていたが、冬には葉がなくなるのでそうではないようだ。(浦安市当代島3-8-46)【吉】

<追 記>
 2012年4月、一帯が整地されオート三輪も撤去されているのを確認した。【吉】

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緑に蝕まれる家

 


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2001.03.26

盛り塩

 料理屋の前で焼き鳥を売っている店がある。人なつこい親父が一人で焼く小さな店だ。

 先日、この店に焼き鳥を買いにいき、焼き上がるのを待っていたところ、自転車に乗った常連風の若者がやってきた。
 「おじさん、焼き鳥3本ね」
 「おう、ちょっと待っててな」
 「うん」
 親父が自分の焼き鳥を焼いてくれるのを待つ若者は、料理屋の玄関に盛られた塩を見つけ、親父に声をかけた。
 「おじさん、なんで塩なんか置いてあんの? まくの?」
 「これはな、縁起がいいんだよ。塩は清めるって言ってな」
 「へーえ…」
 親父の説明を聞いても若者はなんとなく腑に落ちない顔であった。

 若者よ、これは「盛り塩」という昔からの日本の風習だ。
 君が食べる焼き鳥の味つけに使うものではないから安心してくれ。【み】